今回は、都内でお仕事をされているサラリーマンの方々の大きな悩みの一つ、「社食(ランチ)サービス」について触れています。
オフィスビル内に食堂が設置されていなかったり、食堂があっても非常に混雑している、高層オフィスビルの場合だとエレベーターに乗るのですら10分以上かかる、といったい不満を感じている方々はけっこう多いと思います。会社員の大半の方が、お昼休憩45分~60分ということを考えますと、エレベーターなどで待ち時間10-15分消耗してしまうのは非常に勿体ないことではないでしょうか。限られたお昼休憩の時間なので、家族と電話をしたり、少し仮眠をとったりしたいと思います。
上で取り上げました、サラリーマンの方々の不満、企業の総務・人事担当者の方々の悩みを解決するのが、(食堂不要な)社食サービス、オフィスランチ・弁当サービスになります。今回は8つの企業とサービスに厳選し、紹介していきたいと思います。
目次
お弁当.TVの弁当サービス

お弁当.TVは、お弁当テレビ株式会社が運営する、法人向けお弁当お届けサービスとなります。
注文方法は「WEB注文形式」を取っており、企業の注文者(担当毎に毎日の注文者を決める)が朝8:00~9:10までに発注をかけることで、12:00前にお弁当が到着します。注文するにあたって、事前登録が必要な点、毎日の注文個数が1拠点で10個以上必要な点には注意が必要です。
肝心のお弁当ですが、お弁当.TVの場合、曜日ごとにメニューが分かれていいます。

2019年11月時点に調査したところでは、Webサイトがあまり更新されていないせいか、毎日同じ決まった種類のお弁当を提供しているようです。お弁当の種類にバラエティ性がない点などが今後の課題なのかもしれません。お弁当.TVさんのお弁当の価格ですが、大半が500円から650円前後となっています。おかずの品数は3~5種類程度となっています。お弁当の価格を考えると、妥当な品数なのかなと思います。
現在の配達エリアは以下の通りとなっております。
<東京>
23区全域、八王子市、立川市、昭島市、日野市、国立市、国分寺市、小平市、複生市、羽村市、武蔵村山市、町田市、狛江市、青梅市
<その他の地域>
神奈川県、埼玉県、千葉県、長野県、山梨県の一部の地域
お支払い方法は現在、コンビニ払い、銀行振り込みにて対応しているようです。
2007年に創業された会社(創業者兼代表者:岩村 俊郎氏)ということもあって、東京全域の他、長野県や山梨県など、幅広く弁当サービスを展開しています。今後は関西圏、九州圏にも商圏を広げていくのはではないいでしょうか。今後の動向が楽しみです。
- お弁当.TV 評価 - ※5段階で相対評価
サービスエリア:★★★★★
ランチ価格:★★★★☆
味・見た目:★★★☆☆
ランチ種類:★★☆☆☆
注文のしやすさ:★★★☆☆
サービスのユニークさ:★★★☆☆
お弁当はとても美味しそうに見えます。11月の献立表では、毎日同じお弁当が掲載されていたので、今後お弁当メニューの増加に期待したいです。Web注文形式は忙しいオフィスワーカーにとっては使い勝手の良いところです。ただ受付時間が08:00-09:10の70分間のみという点、毎朝、お弁当を注文する人を確認し、Web上で注文しなければならない点が難点かもしれません。
bento.jp DAILYのランチ対面販売サービス

bento.jp DAILY(ベントー・ドット・ジェーピー)は、タベル株式会社(創業者兼代表取締役:石川聡氏)が運営する、ランチの対面販売サービスです。元々は、ベントー・ドット・ジェーピーという企業が運営していたサービスのようですが、2018年8月に日本フードデリバリー株式会社(タベル株式会社の親会社に該当)がbento.jp事業を譲受し、今に至るみたいです。
bento.jp DAILYの面白いところは、魚や有機野菜などを効果的に摂取できるよう、栄養士が監修し、ランチを提供しているところだと思います。以前はモバイルアプリ上からランチを注文できたようですが、そちらのサービスは現在停止しており、今は対面販売に特化する形でサービス提供がなされています。問い合わせをしたところ、ランチの種類は100種類以上取り扱いがあるようなので、毎日色々なランチを食べることができそうです。ランチの価格ですが、500-700円前後なので、お財布にも優しい価格設定となっています。

bento.jp DAILYのサービス提供エリアは以下の通りとなります。
東京都23区全域。
※その他の地域は、毎日の注文量等によって個別に相談、とのことです
支払いは都度現金決済を取り入れているようなので、販売員の方にお金を渡し、ランチを受け取るという流れになります。昨年8月の事業買収により、資金的にも人的にもより一層力をつけていますので、今後どのようなサービス展開が行われるのか、楽しみですね。
- bento.jp DAILY 評価 - ※5段階で相対評価
サービスエリア:★★★☆☆
ランチ価格:★★★☆☆
味・見た目:★★★★☆
ランチ種類:★★★☆☆
注文のしやすさ:★★★★★
サービスのユニークさ:★★★★★
オフィスワーカーの健康サポートを標榜するbento.jp DAILYは、非常にユニークなサービスだと思います。ランチの種類も100種類以上と豊富なので、従業員の方々も飽きずに昼食を取ることができるのではないでしょうか。今後はサービスエリアをどう拡大していくか、物流システムを構築していくか、そのあたりに課題がありそうです。
デリイーツのランチ対面販売サービス

デリイーツ(DeliEats)は、株式会社GeNEE(創業者兼代表取締役:日向野卓也氏)が運営する、スペースシェア事業を絡めたランチの対面販売サービスとなります。スペースシェア事業の開始時点は2019年6月となっていますが、2016年からモバイルアプリ上で地域レストランの出来立てランチをデリバリーするサービスを立ち上げており、対面販売サービスもそこから派生したサービスなのかもしれません。
デリイーツのオフィスランチサービスの面白いところは、売上総額の一部が契約先企業に還元される点にあるかと思います。

自社の従業員がランチサービスを利用すればするほど、企業側(総務・人事担当)にお金が戻ってくることになります。10,000人以上の従業員さまを抱える大きな企業さまの場合、300食程度は毎日出ると思いますし、そうすると2,000,000円以上の現金還元を享受できるようです。企業の総務・人事担当と協同し合い、従業員の方々にオフィスサービスを利用してもらう、といったとてもユニークで共創的なサービスのように感じられます。

ランチの価格帯は400円~700円(税込)のようです。ランチの種類を問い合わせしたところ、2019年10月時点で250種類以上の取り扱い以上があるとのことで、定番の和食・洋食、中華だけでなく、シンガポール料理やアメリカン料理、韓国料理、メキシカン料理などを幅広く取り扱いしているみたいです。これだけランチのバラエティ性が豊富になってくると本当に食堂が不要になってくるように思えますね。
現在、デリイーツのランチサービス提供エリアは以下の通りとなります。
東京都23区全域、八王子市、調布市、町田市、神奈川県・埼玉県の一部
※その他のサービス提供エリアは、オフィスとオフィスワーカーの規模等によって判断、とのことでした。
支払い方法は、bento.jp DAILYと同様の形式のようでして、ランチの受け取り時に代金を支払うこととなります。GeNEEの他のWebサイトを見たところ、法人に特化したモバイルアプリのデリバリーサービスを展開しているようでして、企業・法人向けUberEats(ウバーイーツ)のようなサービスに近いイメージを受けました。今後ITを使ってどのようなランチサービスを展開していくのかが楽しみです。
- デリイーツ 評価 - ※5段階で相対評価
サービスエリア:★★★☆☆
ランチ価格:★★★★☆
味・見た目:★★★★★
ランチ種類:★★★★☆
注文のしやすさ:★★★★★
サービスのユニークさ:★★★★★
スペースシェア事業からランチ販売を展開するあたりが非常にユニークだと思いました。レストランパートナーのシェフと個別に提携し、様々なランチを取りそろえることで今後ますますサービスの拡大が広がるのではないでしょうか。ただ、現段階ではまだ東京全域と神奈川県、埼玉県に閉じたサービスのようですので、物流システムの構築などに課題があるのかもしれません。
みんなの食堂の社食(給食)サービス

みんなの食堂は、先ほど取り上げましたbento.jp DAILYを運営するタベル株式会社(創業者兼代表取締役:石川聡氏)が運営する、給食形式のランチサービスとなります。2018年7月に立ち上げられた会社なので、サービス開始から1年経過した段階となります。
こちらのサービスの特徴は、給食形式のサービスという点です。12:00前後にトラックの配送員が企業を訪問し、ランチの入った段ボールやケース、スプーンやフォークなどの食器類を配送してくれます。配送後、企業の担当者(お昼前、1-2人人員を用意しなければなりません。)が受け取り、社内の会議室や休憩室でセッティング作業を行い、給食形式で当日のランチを取っていきます。フローは学校の給食イメージに近いかと思います。
ランチの価格ですが、従業員の負担額が1食あたり500円(税込)となっていますが、利用人数が20名以上(毎日20名以上)必要な他、食数に応じた月額固定費が企業側に請求されるようです。またランチの種類は日替わり1種類のみとなりますので、嫌いな食材やおかずがある場合、なかなか利用しにくいサービスのように感じました。そのあたりは今後の課題になるのかもしれません。
HP上には具体的な記述はありませんでしたが、導入事例を読むと、みんなの食堂のサービス提供エリアは東京23区がメインのようでして、すでにソフトバンクのグループ会社、弁護士ドットコムなどが実際に導入をされているみたいです。

bento.jp DAILYさんと同じように、ランチはとても健康的です。特にスープ類に力を入れているようでして、温かいコーンスープなどは非常に好評みたいです。食堂がない社内で温かいスープを飲めるサービスはあまり聞いたことがありませんので、そのあたりはオフィスワーカーの心に刺さるのかもしれません。
- みんなの食堂 評価 - ※5段階で評価
サービスエリア:★★★☆☆
ランチ価格:★★★☆☆
※企業負担額も考慮
味・見た目:★★★★★
ランチ種類:★☆☆☆☆
注文のしやすさ:★★★☆☆
サービスのユニークさ:★★★★★
従業員の負担額は税込500円と懐に優しい価格設定となっていますが、食数に応じた企業負担が発生する点、20名以上でないと利用ができない点、日替わり1種類しかランチが届かない点に、企業は二の足を踏んでしまうかもしれません。ただこれまで給食形式のオフィスランチサービスはほとんど聞いたことがありませんでしたので、非常にユニーク性があり、このようなサービスを好む企業さまも多数いらっしゃるように思えます。
シャショクラブのお弁当サービス

シャショクラブは2011年に創業された株式会社RETRY(代表取締役:森下悦道氏)が提供するフードデリバリーサービスです。同社は、フードデリバリー事業以外に再生可能エネルギー開発事業などに取り組んでいます。
シャショクラブは毎日10種類以上のランチを提供しており、福利厚生(企業負担有り)としてサービス導入する場合、1食あたり250円でランチを購入することができます。企業負担分を考慮外とすると、1食当たりは大体500円前後なので、従業員に負担させるか、企業側が費用を負担するかの違いになってくるかと思います。
また注文方法が少しだけややこしく感じました。シャショクラブの場合、月定額制を敷いているようでして、月額5.000円から15,000円程度の昼食費用を従業員が支払い、シャショクラブのポイントを購入します。その所持ポイントを使い、Webサイト上から前日の17時までに翌営業日に食べたいランチを注文するというものです。Bento.jp DAILYやDeliEatsの場合ですと、当日のお昼時(11:30-12:30頃)に実際にランチを見て購入ができるので、それと比べてしまうと少しサービス力は弱いのかもしれません。
ただ、方法によっては食事補助費を福利厚生費として計上し、節税に活かせる可能性もありそうなので、予算が余っていて、従業員に一部還元したいという企業担当者(総務・経理担当の方)は一度相談してみるのもよいかもしれません。

シャショクラブのサービス提供エリアですが、HP上には具体的な記述がありませんが、導入事例から推察しますと、首都圏に特化したサービスのようです。
- シャショクラブ 評価 - ※5段階で相対評価
サービスエリア:★★★☆☆
ランチ価格:★★★★☆
※企業負担額も考慮
味・見た目:★★★☆☆
ランチ種類:★★★☆☆
注文のしやすさ:★★☆☆☆
サービスのユニークさ:★★★★★
従業員の負担額は税込500円と懐に優しい価格設定となっていますが、食数に応じた企業負担が発生する点、20名以上でないと利用ができない点、日替わり1種類しかランチが届かない点に、企業は二の足を踏んでしまうかもしれません。ただこれまで給食形式のオフィスランチサービスはほとんど聞いたことがありませんでしたので、非常にユニーク性があり、このようなサービスを好む企業さまも多数いらっしゃるように思えます。
シャショクルのランチ対面販売サービス

シャショクルは、2009年7月に設立されたスターフェスティバル株式会社さんが運営するデリバリー型社食サービスです。シャショクルの他、有名店のお弁当・ケータリング総合モール、ごちクルサービスやインターネットのショップ運営などを行っています。
2019年10月30日、ぐるなびとの間で、企業向けフードデリバリー事業を譲受することを発表し、今後同市場の中でますます勢いが出てくる会社の一つではないでしょうか。同社の発表によると、今回の事業統合により、スターフェスティバル株式会社の企業向けフードデリバリーサービスの年間取扱高は100億円を超えることを見込んでいるとのことなので、株式上場なども視野に入れているのではないでしょうか。
サービス形式は二つあるようでして、1)対面販売形式、2)無人販売形式となっています。1)の対面販売形式は、シャショクルのスタッフがオフィスまで伺い、対面でランチ販売を行う形式となります。こちらのサービス形式のユニークなところは、現金決済だけでなく、QRコード決済を導入しているところだと思います。現在、PayPayやLINEPayなど、IT決済事業者がたくさんの還元キャンペーンを展開しているので、QRコード決済がランチ購入時に利用できるなら、従業員の視点から考えて、とても有難いのではないでしょうか。
2)の無人販売形式は、オフィスに事前設置されたワゴンにお弁当を届けるといったサービスになります。数種類の日替わりお弁当から購入したいお弁当を選んでQRコード決済するそうです。こちらはロス買取がある点(売れ残りが発生したら企業が全額負担)、月額固定費として5万円必要みたいなので、そのあたりが導入の障壁になりそうです。ランチの価格帯はどちらも500円~1000円程度となります。
取扱ランチ数は4,000種類を超えるみたいですが、実際にサービスが開始すると、その中から2~5種類を選んで配送・販売してくれるようです。また近隣の飲食店からオフィスビルに配送することになるので、少し時間が経つと同じランチが届くようになり、「飽きがきてしまう」ところに課題があるように思いました。
シャショクルのサービス展開エリアはHP上に明記はされていませんが、同社が東京本社だけでなく、横浜事業部、札幌支社、大阪支社、福岡支社を設置していることを考えると、東京だけでなく、その他の地方都市でも利用できる可能性は大いにあるのではないでしょうか。この辺りは具体的な情報が見つかり次第、情報を更新していきたいと思います。
- シャショクル 評価 - ※5段階で相対評価
サービスエリア:★★★★☆
ランチ価格:★★★☆☆
※企業負担額も考慮
味・見た目:★★★★★
ランチ種類:★★★☆☆
※実際日次で提供されるランチは数種類のため
注文のしやすさ:★★★★★
サービスのユニークさ:★★★★★
IC電子決済、QRコード決済をいち早く導入するなど、ユニークな点が多いです。HP上に取扱ランチ数:4,000種類とありますが、実際には数種類/日という点に少し課題を感じますが、有名店とコラボしながら新商品開発にも力を入れているようなので今後どのようにサービスが成長していくのか、楽しみです。サービスエリアはその他の企業と比べても頭一つ抜き出ているように感じます。東京以外の地方都市(大阪、福岡など)でもランチ難民問題は少なからずあるかと思いますので、今後同社のサービスが改善していくのではないでしょうか。
マルコシのお弁当サービス

株式会社マルコシは、上記で取り上げた株式会社ベントー.ジェーピー、株式会社GeNEE、スターフェスティバル株式会社などのIT企業とは異なり、総合給食会社としてオフィスランチ市場に参入した企業となります。設立は昭和43年1月と歴史のある会社で、年商は101億円(H29年度グループ実績値)、従業員数1,100名という同市場の中でも最も規模のある大企業です。
ランチの種類は3種類(特弁当、デラックス弁当、四季菜)から選ぶようです。bento.jp DAILYやデリイーツなどのサービスと比較するとランチの種類は少なく感じます。価格は配送場所、従業員規模によって決定するようでして、HP上には具体的な記述はありませんでした。こちらはわかり次第、記事を更新したいと思います。
2019年11月時点の献立は以下の通りでした。

特弁当は、メインが1品、サブが3-4品付くようなお弁当構成となっています。
デラックス弁当の毎月のおすすめは以下の通りでした。

マルコシのサービスは既に全国に広がっているようでして、電話もしくはホームページから注文が可能です。銀行や保険会社などの金融機関や大手製造企業などは全国的に支店や事務所を持っているかと思いますので、法人契約を一本化するという意味ではやはりマルコシということになるのではないでしょうか。
- マルコシ 評価 - ※5段階で相対評価
サービスエリア:★★★★★
ランチ価格:-
※現調査ではランチ価格不明
味・見た目:★★★☆☆
ランチ種類:★★★☆☆
※実際日次で提供されるランチは数種類のため
注文のしやすさ:★★★☆☆
サービスのユニークさ:★★★☆☆
強みはやはり全国に広がる販売網・配送網ではないでしょうか。日替わり3種類のお弁当を全国にお届けできるのは同社だけだと思います。ランチ価格は色々と調査してみましたが、契約先企業によって変動するようなので、今回は評価対象外としました。注文のしやすさは電話、ホームページからのみ、ということで他のIT企業と比べると少しアナログ的なやり方を取っているように感じます。今後はこの辺りが課題になってくるのではないでしょうか。
家庭向けデリバリーサービスが広がる一方で、法人向けランチサービスも姿・形を変え、いろんなサービスが広がりつつあります。現代においては、東京を中心として、「ランチ難民」という問題が時々世論に上がりますが、今後は少しずつ改善に向かうのかもしれません。
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